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ロス2028でクライミングが3種目に分かれる|得意で選ぶ時代の登り方
パリでは3種目をまとめて競っていたものが、ロスでは分かれます。得意な力が違う人を同じ物差しで並べるのをやめた、という話。ジムでも同じことが言えます。
ロサンゼルス2028オリンピックで、スポーツクライミングはボルダー・リード・スピードがそれぞれ独立した種目として行われます。
東京2020では3種目の合計、パリ2024ではボルダー&リードの複合とスピードの2種目。回を追うごとに分けられてきた流れが、ここで完成します。この変更は競技の話にとどまらず、ジムで登る私たちの「上手い」の測り方にも通じています。
東京・パリ・ロスで、競い方はこう変わった
複合から分離へ。ロス2028で3種目が完全に独立し、正式競技にもなる。
オリンピックでのクライミングは、回ごとに形式が変わってきました。
| 大会 | 形式 |
|---|---|
| 東京2020 | ボルダー・リード・スピードの複合(3種目の総合順位) |
| パリ2024 | ボルダー&リードの複合/スピード単独の2種目 |
| ロサンゼルス2028 | ボルダー/リード/スピードの3種目それぞれ単独 |
東京大会では、スピードを苦手とする選手が総合順位で沈み、逆もまた起きました。専門が違う選手を1つの順位に押し込む方式には当初から異論があり、パリでスピードが独立、ロスでボルダーとリードも分かれることになりました。
あわせてロス大会では、クライミングは「追加競技」ではなく正式競技として実施されます。
出場枠と、選考の入口
枠は各種目男女12〜14人、1国2人まで。入口は2027年世界選手権で、OQSは日本招致が予定される。
ロス2028の出場枠は、ボルダー男女各12人、リード男女各12人、スピード男女各14人。1つの国・地域から出られるのは各種目男女2人までです。
選考の第一段階は2027年世界選手権(チェコ・ブルノ)で、各種目の優勝者がそのまま出場権を得ます。その後、アジア予選、オリンピック予選シリーズ(OQS)と続きます。
OQSは2028年5月頃に日本(代々木地区)への招致が予定されており、実現すれば国内で五輪切符のかかった試合を観られることになります。
日本勢にとっては厳しい面もあります。層が厚い分、2枠の取り合いが世界選手権より激しくなる種目が出てきます。
なぜ分けたほうが自然なのか
3種目は必要な能力が別物。分離で専門性が正当に評価される一方、総合力の見せ場は減る。
3種目は、必要な力がはっきり違います。
- ボルダー:短時間の最大出力と、手順を解く発想力
- リード:15m以上を登り切る持久力と、終盤まで判断を落とさない集中
- スピード:固定ルートを反復して身体に覚え込ませる精度と反応速度
陸上で100mとマラソンと棒高跳びを合計点で競わないのと同じ理屈です。分けたことで、それぞれの種目に専念した選手が正当に評価されるようになりました。
一方で、複合が消えたことを惜しむ声もあります。総合力の高い選手が最も輝く舞台でもあったためです。
ジムでも「強さ」はひとつではない
同じ級でも得意はばらばら。級は粗い要約で、得意の違いこそ学びになる。
ここからが、私たちの話です。ジムでの強さは級(グレード)で語られがちですが、実際に一緒に登ると、同じ級の人でも得意がまったく違うことに気づきます。
| タイプ | 得意 | 苦手になりやすいもの |
|---|---|---|
| パワー型 | 強傾斜、大きな一手、ランジ | 細かい足使い、長い課題 |
| バランス型 | スラブ、微妙な重心移動 | 保持力勝負の課題 |
| 持久型 | 手数の多い課題、周回 | 一撃系の最大出力 |
「4級が登れる人」という情報は、実はかなり粗い要約です。同じ4級でも、垂壁のバランス課題なら登れるが強傾斜は全滅、という人は普通にいます。
級が近い人と登るのが安心なのは確かですが、得意が違う人と登ると学べる量は増えます。自分が絶対に思いつかない手順を目の前で見られるからです。
自分のタイプを知る簡単な方法
一撃・周回・スラブの3テストで傾向がつかめる。苦手は伸びしろの場所。
特別な測定は要りません。次の3つを同じ日に試すと、傾向が見えます。
- 一撃テスト:登ったことのない易しめの課題を、1トライ目で何本登れるか
- 周回テスト:余裕のある級を休まず5本連続。終盤に手が開いてくるか
- スラブテスト:垂壁・スラブの課題だけを10分やってみる
1が得意ならパワーと発想、2が続けば持久、3が苦にならなければバランス型です。どれか一つが極端に苦手でも問題ありません。むしろ伸びしろの場所が分かったというだけの話です。
大会で選手が種目を選ぶのと同じで、一般のクライマーも「自分がどこで戦うか」を決めていいのです。
タイプが違う人と登ると、何が起きるか
得意が違う人と登るとベータの引き出しが増える。問題になるのは級の差よりペースの差。
同じ課題を、パワー型は飛びついて取り、バランス型は足を入れ替えて静かに届かせる。目の前で2通りの解が出ると、自分の引き出しがそのまま増えます。
- 背の高い人/低い人でベータがまるで変わる
- 得意な傾斜が違うと、選ぶ課題が変わって新しい壁に触れる
- 苦手な種類を、誰かが楽しそうに登っているのを見ると挑戦しやすくなる
「レベルが違う人とは一緒に登れない」と考えている人は多いのですが、実際の困りごとは級の差ではなくペースの差です。この点はレベル差があるときの枠の選び方で具体的に整理しています。
ロスまでの2年をどう過ごすか
2028年までに週1回で約100回。級を上げるより通い続けることのほうが難しい。
2028年までの間に、2027年世界選手権(ブルノ)、毎年のワールドクライミングシリーズ、そして日本招致が予定されるOQSと、観る機会は何度もあります。
観る側として楽しみが増えるのは確かですが、もう一つの選択肢もあります。2年あれば、自分が登る側としてかなり変われます。週1回のペースでも100回近く登れる計算です。
- 週1回を2年:初心者から中級の入口までは十分届く距離
- 同じジムに通い続けると、顔見知りが自然に増える
- 級を上げることより、通い続けることのほうが難しい
続けるための現実的な工夫は固定枠の作り方にまとめています。予定を先に決めてしまう方法です。
まとめ:物差しが増えることは、居場所が増えること
物差しが増えると一緒に登れる相手も増える。強さを揃える必要はない。
3種目が分かれたのは、1つの物差しで全員を並べるのをやめたということです。スピードが速い人も、長い課題を粘れる人も、難しい一手を解く人も、それぞれの舞台で評価される。
ジムでも同じです。級だけを物差しにすると、自分より上か下かしか見えなくなります。得意の違いという軸を1本足すだけで、一緒に登って面白い相手の数は一気に増えます。
ボルとも!では、日付・ジム・時間帯の枠に参加するだけで、その日一緒に登る人がいる状態を作れます。強さを揃える必要はありません。同じ日に、同じ壁の前にいることのほうが先です。
よくある質問
- ロス2028でクライミングはいくつの種目になりますか?
-
ボルダー、リード、スピードがそれぞれ独立種目として男女で実施されるため、合計6種目になります。パリ2024のボルダー&リード複合は無くなります。
- 出場枠は何人ですか?
-
ボルダーが男女各12人、リードが男女各12人、スピードが男女各14人です。1つの国・地域から出られるのは各種目男女2人までとされています。
- 日本で予選が見られる可能性はありますか?
-
オリンピック予選シリーズ(OQS)が2028年5月頃に日本(代々木地区)で開催される方向で招致が進められています。実現すれば、出場権のかかった試合を国内で観られることになります。
- 自分がどのタイプか、ジムで調べられますか?
-
易しめの課題を一撃で何本登れるか、余裕のある級を5本連続で登れるか、スラブだけを10分続けられるか。この3つを同じ日に試すと傾向が見えます。特別な器具は要りません。
- レベルが違う人と一緒に登っても意味がありますか?
-
あります。得意が違うと同じ課題で別の解き方が出るため、自分にない手順を目の前で見られます。実際に問題になりやすいのは級の差より、休憩や移動のペースの差です。
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